K・リテラシー

ジャーナリストKANAME EIGHTの8つの視点から持論を展開。

【陰謀説】陰謀論者とマルクスの怨念

逮捕された「ハインリッヒ13世」(7日、フランクフルト)ロイター

マルクス思想の恐ろしさは、怪しげな淫祠邪教に魅入られた人間のごとく極端な方向へ走ることで、その視点で見ると最近、世間を騒がせている陰謀論者に共産主義者の破壊衝動の部分において酷似する部分がある。

これは筆者の個人的な解釈にはなるが、陰謀論者が発信する文章には何かしらのサプリミナル効果のようなものがあり、予定調和があるかのような反応があるという話を前の記事でお話しした記憶がある。

 

<読売新聞より抜粋>

反ワクチン団体「神真都Qリーダー」を逮捕…子ども接種会場に集団侵入し「接種は犯罪」

新型コロナウイルスのワクチン接種会場に侵入したとして、警視庁公安部は20日、ワクチン接種に反対する団体「 神真都(やまと)Q」(東京都港区)の自称リーダーで元俳優の男(43)(大田区)を建造物侵入容疑で逮捕した。

 

発表によると、男は7日午前9時半頃、5~11歳の子どもの接種会場になっていた渋谷区の小児科クリニック内に侵入した疑い。仲間とともに待合室や通路に約1時間とどまり、「ワクチン接種は犯罪」などと主張したという。

警視庁は同日、団体メンバーとみられる41~64歳の男女4人を同容疑で現行犯逮捕。メンバーが撮影していた侵入時の動画映像を押収して分析し、男の関与を調べていた。男は団体で「岡本一兵衛」と名乗っていた。

 

<日経新聞より抜粋>

【ベルリン=南毅郎】ドイツで国家転覆を計画した疑いでテロ組織が摘発された事件の全貌が明らかになってきた。主犯格は貴族出身の「ハインリッヒ13世」を名乗る71歳の男で、現役の裁判官や軍人も一斉に逮捕された。過激な陰謀論を唱える「Qアノン」と極右が共鳴し「第二帝国」の復活を狙っていたとされる。

インターネットを通じた陰謀論の浸透が、米欧の民主国家にとり大きな試練となっている。

ドイツ東部チューリンゲン州。保養地で知られるバート・ローベンシュタインは騒然となった。ハインリッヒ13世が所有する狩猟小屋が武器倉庫になっている――。覆面をかぶった捜査員が7日に突入した。

独検察当局はテロ組織に参加した疑いなどで25人を逮捕した。遅くとも昨年11月までに活動を始め、独連邦議会を襲撃する準備など、クーデターによって独自の国家樹立を企てた疑いがある。さらに逮捕者は膨らみそうだ。フェーザー内相は11日付のドイツ紙ビルトで、銃規制の強化に乗り出す考えを示した。

主犯格は2人とみられている。1人は現在のチューリンゲン州の一部を支配していた貴族ロイス家の子孫にあたる、ハインリッヒ13世。一族と距離を置き、極右思想に傾倒していたという。同じく逮捕されたロシア人の容疑者を代理人として、ロシア政府と接触を試みた疑いもある。

もう1人はドイツ連邦軍のエリート、空挺(くうてい)部隊を指揮していたフォンペスカトーレ元中佐。ハインリッヒ13世を頂点に独自の武装集団を立ち上げようとした疑いがある。陸軍の特殊部隊である「KSK」のメンバーも捜査対象となり、警察や軍の関係者を引き込もうとしていた。

ドイツではかねてドイツ至上主義や反ユダヤを掲げるネオナチの存在が危険視されてきたが、今回は1国にとどまらない危うさがある。Qアノンの影響が色濃いためだ。

2017年に謎の人物「Q」ネット掲示板に投稿を始め、米国を中心に拡散した陰謀論であるQアノン。「ディープステート(闇の政府)」が世界を操っているなどと主張し、著名人を小児性愛者と決めつけたり、新型コロナウイルスに関する偽情報などを広めたりしてきた。

トランプ前米大統領の支持者らが賛同し、21年1月に起きた米連邦議会占拠事件にも信奉者が加わっていた。

ドイツのクーデター未遂では、極右勢力「ライヒスビュルガー(帝国市民)」が関与した疑いもある。独検察当局は事件の思想的な背景について「Qアノンのイデオロギーと帝国市民の物語からなる陰謀神話の集合体」と分析する。

帝国市民は東西ドイツ統一前、冷戦時代の1980年代からの右翼活動が底流にある。表だった行動に乏しく、実態をつかみにくい。第2次世界大戦後の民主国家としてのドイツの歩みを認めず、ビスマルク時代のドイツ帝国に倣い、第二帝国の復活をもくろむ。

Qアノンに代表される過激な陰謀論は、SNS(交流サイト)や動画サイトなどを通じて世界中で閲覧でき、各国の事情に即した「翻訳」が増殖する。非合法、暴力手段で政治主張をかなえようとする極右との共鳴は容易だ。

独連邦刑事庁などによると、帝国市民のメンバーは21年末時点で約2万1000人とされる。うち1150人は過激派で、およそ500人は合法的に銃を所有する。フェーザー内相によると、直近は2万3000人にまで増えるなど着実に勢力を広げる。16年には南部バイエルン州でメンバーが警官を殺害する事件も起きている。

今回摘発された組織や帝国市民が、現時点で国家転覆を実行できるほどの力を備えているとの見方は限られるが、フェーザー氏は「過小評価してはいけない」と話す。

ドイツでは、ウクライナ危機によるエネルギー価格高騰への不満が広がり、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が支持を伸ばしている。今回の事件ではAfDの元議員で現職の裁判官も逮捕された。

陰謀論は暮らしや雇用の安定に不安を抱く人々の心理につけ込み、土壌とする。インフレに苦しむ世界にあって、民主主義をむしばむ影響力は無視できないものとなっている。

<抜粋終了>

 

日本で発生した騒動についてはドイツのそれと比較するとまだマシな方の部類に入るが

刑事事件を犯すといった部分では、1970年代に世間を震撼させた連合赤軍による「あさま山荘事件」及び赤軍による「よど号ハイジャック事件」が挙げられる。

 

連合赤軍のリーダーであった森恒夫は革命戦士になる為には「総括」が必要だと主張し、総括の対象になった人間は凄惨なリンチに遭い、次から次へと命が奪われていった。ちなみに総括の基準は曖昧で森恒夫以外はジャッジの基準が全くわからなかったらしい。よど号については、飛行機を強奪して北朝鮮を目指すのはいいが、朝鮮語は愚か、英語すらままならないメンバーがハイジャックして強行に及んだがついでに言うと持っていた日本刀、爆弾、銃ですらおもちゃだったというから聞いて呆れる。

 

後先を考えない無計画ぶりだが、ワクチン会場に殴り込みをかける「 神真都(やまと)Q」、「ハインリッヒ13世」にしかり米議会に襲撃をかけたQアノン陰謀論信者を見ても同様に後先を考えない過激ぶりは前述の70年代の連合赤軍の行動と被る部分がある。

 

陰謀論共産主義思想は発する部分が同源と感じさせるぐらい、何かしらの思考停止を招き、破壊衝動を呼ぶ何かがあるような気がする。

筆者はこれを個人的に「マルクスの怨念」と読んでいるが、書籍にはそれを書き上げた人間の息吹きが宿るもので、例えば論語等の古典を読むと何か柔和な感覚になるが、韓非子を読むと論語とは違い、何かリアリストになった感を覚える。また吉田松陰留魂録を読むと獄中にいながらも弟子に向けて筆を走らせる松陰の覚悟が真冬の寒気のような鋭さと一種の清々しさを感じたものだが、これは筆者の個人的な主観であることも否めないが、やはりそれを書き上げた人間の魂が宿るのではないかと考えている。

 

奇妙なことに陰謀論を多くは「西側諸国」を基本的に悪玉に仕上げているケースが多く、Qアノン信者のトランプ信仰はまた別のパターンになるかもだが、民主党のカウンターとしてトランプが存在しているだけで、「標的」は西側であることは間違いがない。

 

一方で共産主義国を悪玉にした陰謀論は自分が知る限りでは見たことはない。

その視点で考えると、陰謀論共産主義思想は同根、同源であり、破壊衝動に向かわせる何かしらの呪詛に似た計略でもあるのではないかと訝しんでいるのだが、マルクス主義を一度取り入れた国家は

何かしらの呪いに取り憑かれたかのように破壊行動に出るのではないか。

現在のウクライナ侵攻がそれの最たるもので、恐らくはそれに中国が、北朝鮮が続くのだろう。

私はこれを「マルクスの怨念」と呼んでいる。

#陰謀論 #陰謀説 #ウクライナ侵攻