ディープステートという言葉が流行り出したのはいつ頃からか覚えている人はいるだろうか?
自分の体感だと恐らくは2017年中盤から後半辺りからこの「ディープステート」という単語を目にするようになった記憶がある。
最初にディープステートという言葉を聞いた時に強い違和感を覚えたのはそれまでは「イルミナティ」が影で世界を支配しているといった陰謀論が流行しており、イルミナティとフリーメイソンはセットで語られていることが多かったのだ。
あるタイミングから突然「ディープステート」が出始めたが、恐らくはロシアゲートを皮切りにで始めた陰謀論の可能性がある
2016年アメリカ合衆国大統領選挙におけるロシアの干渉について。2016年に行われたアメリカ合衆国大統領選挙において、対立する、民主党のヒラリークリントン候補(当時)の選挙戦を妨害し、共和党のドナルド・トランプ候補(当時)を勝利させることを目的に、ロシア連邦がサイバー攻撃やSNSを使ったプロパガンダなどの手段を用いて実行した一連の世論工作・選挙干渉である。ロシアゲートやロシア疑惑とも言われる。
ロシアのウラジーミル・プーチン政権は干渉を否定してきたが、「プーチンの料理人」とも呼ばれる側近で、世論工作の拠点となったインターネット・リサーチ・エージェンシーの出資者であるエフゲニー・プリゴジンが2022年11月7日、SNSを通じて、干渉を行なったことを認め、その後も継続していることを表明した。ロシア側のコードネームはプロジェクト・ラフタ作戦とも)。米国情報機関によると、この作戦はプーチン大統領が直接命じたものだという。2019年4月に公開された特別検査官の報告書(英語版)では、「トランプ陣営とロシア政府関係者との多数の接触を調査したが、トランプ本人やその関係者に対して共謀罪などを適用するには証拠が不十分である」と結論付けられた。
2016年の民主党オバマ政権時代に中国の杭州で行われたG20のサミットが開かれた際にオバマ大統領はプーチン大統領を呼びつけて、大統領選のサイバー攻撃を止めるように警告したが、プーチン大統領は知らぬ存ぜぬといった態度だったらしいが、オバマはロシアの仕業と断定して同年末にロシアの外交官35名を国外退去させることになった。
はっきり言えば、プーチンがオバマと揉めてからで始めた陰謀論ということである。
陰謀論者曰く、トランプとプーチンはディープステートと戦っているらしいが、このキャスティングからしていかにも眉唾な感じがするのが否めない。
恐らくはロシアのプロパガンダ戦略の一環で作られた陰謀論である可能性は高く、標的は民主党のバイデン大統領になっており、共和党が善、民主党は悪といった図式で構成されている陰謀論である。
最近はマイクロソフト創業者のビルゲイツとセットでネット空間を流れているが、数年前に流行った「モンサント」は陰謀論者の酒肴からは離れているようだ。
ロシア発の陰謀論が西側諸国の陰謀論好きの国民に入り、そこから更に空想と妄想でカスタマイズされ、どんどん話が複雑化し、長編を描く漫画家がたまに犯す「話のつつじまが合わない現象」を起こしているのが中々面白い。前の記事でディープステート対策は「戦争を起こさないことが一番の対策」と書いた記憶があるが、プーチンは積極的にウクライナを侵攻し、西側陣営の軍事産業を潤している有様である。